※本記事は大青漫画「うつせみ」のあとがきです。
未読の方は以下または上記のリンクよりごらんください。
(リンクうまく貼れないがちなので、↑のがいいかも~)

あとがき

うーん……大崎さんが……。
やはり、喪失を受け入れて、生きていけてしまう人間が……好き……。

前編しか知らない私は、そのように言っております……。

これ本当に最初は、こういう終わり方ではなく、「一緒に生きて生きましょうね」みたいな感じだったんです!
本当なんです!


小ネタ

【タイトルについて】
みっつの意味があります。

  1. 蝉の抜け殻。(=死んだ人々≒大崎さん)
  2. 現世に生きている人。(=残された青海さん)
  3. 源氏物語の巻のひとつ「空蝉」

3番に関しては誰がわかるねんという感じですが、「大崎さんが上着を残す→青海さんが残された上着に大崎さんを想う」というくだりが源氏物語の流れのオマージュのつもりです。
中盤で古典の話が混じったり、タイトルがひらがなだったりするのは、その影響でもあります。

源氏物語詳しく…

ある時、光源氏が通称空蝉という女性に夜這いします。
しかし既婚者であった空蝉は、衣を脱ぎ捨てて逃げてしまいます。(空蝉も心の中では光源氏に好意を持っていたものの、立場や夫の気持ちを考えての脱走でした)
ほで、光源氏は残された衣を持ち帰り、後生大事にして過ごし、後年たまたま再会したふたりは、その時のことを懐かしんで文を交わす……という…感じです。

2に関しては当て字だと聞いておりますが、それにしても「抜け殻」と「生者」という対角にあるようなものが、同じ言葉で表現されるのってすごく粋だ……と思いまして、タイトルを主軸に据えて話を盛ったり削ったりしました。

【解説補助など】

  • 「朝の陽を正面に~翔んだ時のようだったそうです。」
    実際にあった証言で、1933年2月15日の東京朝日新聞に載っています。
    この件を皮切りに、大島・三原山は自殺の名所として知られ、多くの人が身を投げることとなってしまいます。
    この証言を見た時、身投げを蝉に例える気味の悪さと美しさが強烈な印象として残りました。
    「美しく例えたいのなら蝶にすればいいのに、なぜわざわざ蝉に例えたんだろう?」と思ったのですが、実際火口付近には蝉がたくさん飛んでいるらしいです。
    身近だったというだけのことかもしれませんね。
  • 初出青海さん
    蝉を眺めて、「山に登ろう」(=死のう)と思っていました。

    大崎さんが来てなければ次の週には死んでいました。
  • 「谷で浮かない顔してたから~」
    戦前は自殺の名所でしたから、ひとりで島に渡ってきて、たそがれている大崎さんを自殺企図者だと思って警戒し、声を掛けたようです。
  • 野菜は隣家の精霊馬の余りです。
  • 大崎「すみません。連絡もせず」
    青海さんが火口に身を投げる夢を見て、いてもたってもいられず船に飛び乗った次第です。
    大崎さんが来ていなければ、青海さんは実際にそうしていました。
  • そんな大崎さんのトゥンクしてしまう青海さん。
    顔には出ませんが、そんな都合の良い自分の気持ちにも、嫌気が差していきます。
  • 青海さんの葛藤をつゆ知らず、夢とは違って青海さんが生きていることに安心して抱きしめてしまう大崎さん。
  • 「明日は手伝いがありますから」
    「お盆の手伝いに出るから痕はつけないで、激しくしないでほしい」って意味
    ですが。
    痕をつけずに、優しく抱いたら良いってことですか???
    大崎さんが好きになっちゃった青海先生は、抱きしめられたらやっぱり嬉しいと思ってしまうんですね。
    でもそれが、青海さんを苦しめる根源でもありますね。
  • 結局、蝉の声ってなんなんですか?
    死んだ人の象徴であり、生命の象徴でもあり…。
    ”生きている価値がないが、死ぬ勇気もない”青海さんにとっては、そんなどっちつかずの状態を自分を責め立てるように聞こえているイメージです。
    敏感な聴力がある青海さんのことですから、夏、キツそうと思いましたが、如何に。
  • 「一緒に死んでくれますか」
    青海さんは大崎さんに死んでほしいわけではありません。むしろ逆だと思います。
    でも、大崎さんが生きている限り、青海さんはどれだけ死にたくても死ぬことができません。
    それは、大崎さんが好きだからという単純な気持ちではなく、大崎さんの声が他の誰かに奪われることを許せないから……。
  • 「青海先生、お野菜です」~「ありがとうございます」
    現在の青海先生(老)です。
    お野菜を届けてくれる少女は婆になって、健在です。
  • 夢の青海さん
    大崎さんが掴んだのは包帯だったのに、いつの間にか縄になっています。
    こちらを向いた青海さんの表情は、自分を延命しようとする大崎さんを恨むものだったのかもしれません
    ここまで、大崎さんの胸には「青海さんに生きていてほしい。でも、その気持が青海さんを苦しめているのでは」という思いがありましたが、「悪夢にならないよう気をつける」(=今後もあなたを夜ごと想う)と青海さんが自分から言ってくれたことで、迷いを断ち切ることができたようです。
  • あ! ここ! 青海先生の首元に、キスマークが!
    海のシーン、時系列としては、「一緒に死んでくれますか」と青海先生が問うた翌日です。
  • 精霊馬と迎え火のカット。
    大島に親戚はいませんので、大崎さんを迎えるためです。
  • 置かれた湯呑みはふたつ。
  • 「大崎さん、今年も賑やかですね」
    序盤では「うるさい」と思っていた蝉の声を、「賑やか」と言っています。
    大崎さんとの約束を守って、「死ぬことを寂しく思えるようになるまで」生きていたら、いつのまにか大崎さんのいない寂しい世界を受け入れて、「生きたい」と思えるようになってしまいました(本人はその気持ちを見ないふりしていますが…)。
    「共に死のう」という約束の条件は満たしているのに、それを破っている状態でもあります。

結局、大崎さんはなんで死んだの?
不慮の事故とかだと思います。大崎さんにも予想できず、死に目には会えませんでした。

後半というか、現在の青海先生は老人のつもりではあるんですが、凛とした佇まいを崩すのは解釈違いすぎて、全然老け感を出すことができませんでした!


そんな感じです!

馬鹿長くてすみません!
いろいろ書きましたが、基本的な解釈はこれにとらわれず、お任せしています!
感想巡回などしますが(キショ)、「そんな捉え方もあったのか!」といつも新鮮に楽しんでいます。
私が考えていなかった伏線とかを回収してくれて(!?)びっくりすることも……。
嬉しいことです。

そいて、こんなところまで読んでくれた皆さんは特に、ありがとうございます!!!

次はキャラを殺さずに、”生の輝き”を描きたい……。
そう、祈って……完全版に臨みます!!!